灯台放送ファン アーカイブ

2008 年 1 月 20 日

灯台放送とは

Filed under: 船舶気象通報 — admin @ 11:10 AM

灯台放送とは、正式には船舶気象通報といい、北海道~沖縄にいたる全国29ヶ所の灯台から周波数1670.5kHzで放送されています。ただし、キャリア(搬送波周波数)は1669kHzですので、1669kHzで聞くのが良いようです。電波形式はH3Eとなっていますが(いますので?)AMで聞こえます。

毎正時、宮古島からスタートして徐々に太平洋岸を北上し、釧路まで行ったら今度は大瀬崎(長崎)に戻ってそこから日本海側を北上、北海道の焼尻島が終点。
24時間365日、休むことなくこの1時間サイクルを繰り返しています。

放送内容は灯台によって少し違いますが、風向と風速は全ての灯台。あとは灯台によって天気、視程、波、うねり、気圧などの情報が加わります。

詳しくは、海上保安庁交通部の「船舶気象通報」のページを参照してみてください。

送信出力は50W。大阪ハーバーレーダーにいたってはわずか10W。TBSラジオや文化放送は100kWですから、なんと2000分の1~1万分の1という小出力ですが、それでも結構良く聞こえるのは混信が無いからかもしれません。

実際の放送はこんな感じ(八丈島灯台の例):mp3(775KB)です。ノイズもなんだか波の音のようです(笑)。

ただし、規定の放送時刻になれば、全ての局がいつでも聞こえるというわけではありません。特に昼間は、電波が電離層で反射されてくれないので、遠方の局は聞こえません。夜間は、運よく、電離層の機嫌が良ければ1時間で29局の全てを聞くこともできますが、当地(千葉県)の私の受信環境だと、29局中28局は、夜になれば程度の差こそあれ毎日聞こえますが、「みやこじま」だけは、聞こえない日のほうが多いです。電波というのは不思議なものですね。。。

2008 年 1 月 18 日

灯台放送の自動化

Filed under: 船舶気象通報 — admin @ 10:21 AM

先日、「日本の灯台」(長岡日出雄)という本を読み、灯台放送の意外な一面を知ることができました。

灯台の業務というのは僻地の勤務であることが多く、灯台守の人たちが家族共々赴任して業務に従事するというのは、大変に苛酷なことであったようです。また、戦後、海上保安庁管轄の灯台が激増したこともあり、限られた予算で多くの灯台の管理を行なっていくためにも、「灯台管理の自動化、無人化」は極めて切実な課題でした。

昔、光源として石油などを燃やしていた頃ならともかく、戦後であればほとんどの灯台は電力を用いていたため、いわゆる「光の点滅」については、自動化はさほど難しくはなかったようです。もちろん、自動化即無人化となるわけではなく、障害発生時のスムーズな対応や、障害の未然防止のための定期点検業務などがきちんと運用に乗る、という大前提が必要なので、組織や設備の再編などは大変な仕事だったようです。

しかし、なかでも灯台業務の自動化を遅らせたのが、実は灯台放送などの『付帯業務』だったようなのです。付帯業務の1つとして、昔、各灯台では「船舶通報業務」という業務も行なっていました。これはまだ船舶無線が普及していなかった時代に、無線設備を持っていた灯台が、沿岸航行中の船舶と船主・代理店などの間での入出港情報を仲介したり、通航船舶名をロイド協会に通知したりしていたという仕事で、どう考えても「人手」によるやりとりが必須でしたが、この業務は1964年頃には廃止されたようです。

そしてもう1つが灯台放送(船舶気象通報)業務なのです。通報のほうだけであれば、現在でも実施されている音声合成システムを使うことでなんとかなるのですが、問題は、各灯台で行なっていた気象観測業務のほうでした。灯台での気象観測の歴史は古く、明治初年から行なわれていたようです。岬や島などの気候は内陸部とは異なることが多く、気象庁のデータを補完するためにも重要な意味があったようです。
また、波高やうねりなど、気象庁データでは入手できない局地的な情報に対する船舶からの要望も多く、1950年代から、現在に近い状態での「船舶気象通報」が始まったということです。

風向風速気圧といった測定項目は、素人目にも、なんとなくすぐ自動化できそうな気がしますが、波高、うねり、視程、といった「目で見てナンボ」の世界の自動化は、テクノロジーの発達を待つ必要がありました。現在では、レーダーを用いた波高の測定や、レーザーを用いた視程の推定が行なわれているようです。

最後の有人灯台であった女島からも、灯台放送が流されていましたね。

2008 年 1 月 17 日

灯台放送は誰が運営しているのか

Filed under: 船舶気象通報 — admin @ 11:40 PM

長いこと私は、灯台は気象庁の管轄だと信じていたのだが、実は海上保安庁の管轄であったのだ。(最近知った)。気象庁というのは、たしか池澤夏樹が著書の中で「国の役所の中で汚職とはもっとも縁が薄いイメージだ」と書いていたが、全く同感だ。海上保安庁の管轄であると知ったときはちょっとショックだった。

ただそのときはもう1つ誤解していて、海上保安庁というのは海上自衛隊のいるところだと思っていた。実はそうでなく、海上自衛隊は防衛省の管轄で、海上保安庁というのは気象庁と並んで国土交通省の管轄だったのだ。(これはもっと最近知った。防衛庁が防衛省になったというニュースのとき)

・・・ということは灯台はやっぱり気象庁の仲間?いやいやそうでなく、海上保安庁の英語名は Japan Coast Guard。アメリカのCoast Guard(沿岸警備隊)と同様、武力も保有している。
個人的には、沿岸警備は防衛省、灯台業務は気象庁としてくれたほうが落ち着くのだが。

・・・・という記事を以前の書きかけブログのほうに書いたところ、コメントをくれたかたがいらっしゃって、そのまま転載すると、
=================
沿岸警備まで防衛省がやっちゃうと違法漁船や密輸密航取締りすら軍事行動と受け取られて、国際問題になる危険があります。また、海保が海賊対策として東南アジアで行っている各国支援も軍事援助と非難されてしまうでしょう。

実を言うと、灯台も国防上重要な施設なんです。もちろん航路を維持するためのものですが、戦時中は爆撃機を察知して空襲警報を発していたりしていたので、米軍から攻撃を受けてなくなった灯台職員の方もかなりいます。現代でも、一部の灯台は不審船監視の任務があるとか。海外では、灯台を海軍が管轄しているところも多いですね。民間団体が管理している場合もありますが、気象機関の管轄というのは聞いたことがないです。あくまで観測所ではなく航路標識ですから。
=================

・・・と、「なるほど、そういうことでしたか」と、ひとつ賢くなったのですが、例えばアメリカと較べるとちょっと違うのかなと思えることもあります。

「海を守る灯台業務」は海上保安庁の仕事だとしても、灯台放送というのは、船舶気象通報という名のとおり、正味、気象情報を伝えています。これは、気象庁の発表した情報を伝えているのではなくて、実際に、灯台に「象測器」を置いて、気象観測もやっているのです。

アメリカの場合はどうかというと、灯台を管轄しているのはCoast Guard(沿岸警備隊)で、これは日本と同じ。というか、日本がアメリカと同じ。しかし、Marine Forecastと呼ばれる船舶気象通報は、NOAA(国立海洋大気局。日本の気象庁みたいなものかな)が全て統括しているようで、あまり灯台とは関係なさそうなのです。

まあ、どうでもいい話といえばどうでもいい話ですが。。。

2008 年 1 月 16 日

灯台放送の受信報告とQSLカード(ベリカード)

Filed under: 船舶気象通報 — admin @ 12:40 AM

このサイトの「灯台放送全局紹介」では、それぞれの局の発行しているQSLカード、あるいはレターを添えてご紹介しています。このQSLカード、綺麗に印刷された絵葉書のようなものもありますが、多くはインクジェットプリンターで都度印刷された手作りの味わいがあります。また、灯台をあしらったデザインというのは実に「絵になる」魅力的なものです。私はQSLカードのコレクターではありませんが、灯台放送のカードだけは唯一、「欲しい」と思ったカードでした。

そんなQSLカード(受信確認証)を入手するにはどうするか?
まずは、灯台放送を受信して、受信報告書を書きます。当たり前ですね。
灯台放送の放送時間は1局あたりせいぜい1~2分なので、放送された全文を書き取って送るのが具体的で良いかもしれません。「えりも」局や「げさし」局など、実際の放送原文と照合して、放送原文までつけて返送してくださったりするところもあります。

次に、「切手を貼った返信用封筒」を同封して、管轄の海上保安本部交通課に送ります。
ここで注意しないといけないのは、海上保安部交通課の業務は、決してQSLカード発行が主たる業務ではないということに配慮することです。『受信報告書を送ったのだからQSLカードを返送してくれて当然だろ?』というような態度は慎みましょう。返送までにかかる期間もさまざまです。私の場合も、一番早いところは受信報告の送付後僅か3日ほどで返信をいただけた局もあれば、2ヶ月くらいかかったところもあります。

余談ですが、灯台放送の受信報告書の宛先は、現在と数年前とでは全く異なります。
昔は、灯台放送を聞いたときの受信報告書の宛先は、灯台が立っている地域の航路標識事務所でした。今でもググると、それらを宛先として指定するような記事もヒットしてきますのでお間違えなきよう。

しかし2007年現在、一部の例外を除いて航路標識事務所は存在しないのです。

これは、海上保安庁が平成13年度(2001年)からの5カ年計画で、全国74箇所(当時)の航路標識事務所を各地区の海上保安部へ統合したことによります。
現在では、受信報告書の宛先のほとんどは、管轄区域の海上保安部の交通課です。ですので、「いろう」と「はちじょうじま」、「むろと」と「あしずり」などは同じ宛先になります。具体的な住所はこのサイトの最上部のメニューにつけておきましたので参考にしてみてください。

Powered by WordPress