岬と燈台
暁教育図書というところから出版された、「日本発見」シリーズの第35巻。発行は昭和57年という、消費税導入以前の古い本ですが、今でも古書店やオークションサイトなどでわりとたくさん流通しているようです。
とにかく内容が濃い。濃すぎるくらいです。巻頭特集の納沙布岬をはじめ、いわゆる灯台紹介の記事も多いですが、『岬の文学散歩』というコーナーでは岬や灯台をモチーフとして書かれた、井上靖や太宰治、庄野潤三ら多くの作品が紹介されています。
かたや「オリエンタルホテルの灯台悲願」や「洋式灯台の移り変わり」などの解説風読み物も豊富。男木島灯台(瀬戸内海)に勤務中(当時)の灯台守夫妻への取材記事もあれば、岬とか灯台にまつわる民話や伝説も収録されています。歴史記事としては、洋式灯台創設の立役者となったブラントンや、初代燈台頭となった佐野常民の紹介などもあります。
用語辞典や年表、年中行事、「岬と燈台全国ガイド」などもまとめられており、これ1冊で岬と灯台に関するポータルサイトができあがりそうなくらいです。
もちろん25年も前の本なので、GPSを前提とした現代の灯台のありかたとは方式論などが異なる部分もありますが、今読んでも充分に楽しめる1冊です。機会があれば図書館でも良いので一度手に取ってみる価値ありと思います。
ちなみに、表紙のまぶしい灯台は佐田岬灯台のようです。(先日まで佐多岬と書き間違えてました、スミマセン)
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